スタジオ撮影
ちょっと遅くなりましたが、丸善丸の内本店ギャラリーにて開催された「人・形 展」は無事終了いたしました。
ご来場、お買上げの皆様には熱く御礼申し上げます。
ちなみにぼくのRSHシリーズ2体は残念ながら今回は売れ残ってしまいましたので、メールを頂ければ送料無料で販売したいと思います。
※2017年5月追記:RSH-A3はアルテトキオさんの商品原型となりますので販売できなくなりました。誠に申し訳ありません。
RSH ver.1.1↓
RSH ver.1.1の詳細ページはこちら
RSH-A3↓
RSH-A3の詳細ページはこちら
お値段は両方共に220,000円という高額商品となりますが、銀行振り込みの一括払いのみとなりまして、代引きや分割・カード払いはできません(スミマセン…)。
お買上げ(振込)後のキャンセルも不可となりますので衝動買いにはご注意ください(笑)。
ていうか早く1/6キットの新作作らんといかんな…。
さて、話題は変わりまして夏真っ盛りの8月に、いつもお世話になっているアルテトキオさんの商品撮影のお仕事に行ってきました。個人的に今回のヘッドやウィッグはかなり好印象でした。↓
そもそもなんで原型師のぼくが撮影してるのかというと、初めて原型のお仕事をいただいた時に、その商品撮影も「ついでにやってみませんか?」みたいな感じにオファーいただいたのが始まりだったのですが、それ以降ぼくが手がけていないもの(他の人が作ったもの)も時々撮影するようになりました。
仕事の内容としては衣装購入時のチョイスから始まり、撮影当日はその衣装の組み合わせ、ウィッグのセット、ポージングをして撮影でその日は終了。
翌日以降にRAW現像、データ転送といった感じで、撮影当日は朝から日が暮れるまで行動するのでけっこう体力消耗して「あ〜仕事したな〜」と実感できる日になります(笑)。
※ここからいきなり趣味の領域でもあるカメラ話も混ざってくるので若干専門的な用語や話題も飛び出しますがご了承ください(笑)。
思い返せば最初にこの撮影のお仕事をいただいた時はSONYのRX100という、いわゆる高級コンデジブームの火付け役となったカメラで撮影したのですが、この頃はまだ全然カメラの操作方法も撮影の知識もノウハウも乏しくて、今にして思えば残念な写真しか撮れませんでした(しかもRAWで撮り忘れるという体たらく。正直撮り直したい…)↓
このスタジオは屋外光が一切入らない所だったので照明に頼るしかなかったのも残念ポイントでした。
その次にオファーをいただいた時はちゃんとRAWで撮影・現像したので初回よりはマシな写真が撮れました↓
ドールのポージングの取らせ方もいろいろ試して勉強。
でも背景ボケとか照明とかはあまり意識せず、ポージングとアングルをあーだこーだとやってました(そもそもRX100じゃ背景ボケが〜とか言うほどボケないんすけどね)。
屋外光が入るスタジオだったことは今にして思えば非常に助けになっていたと思います。
そしてその次の回ではレンズ交換式のパナソニックGM-1という、センサーサイズがRX100よりもちょっと大きいマイクロフォーサーズ規格(m4/3)のカメラで挑みました。
レンズはオリンパスの単焦点25mm/f1.8(35mmフルサイズ換算で50mm相当の画角。要するに標準域のレンズ)1本のみだったのですが、途中から絞り優先の開放で撮ることを覚えて(笑)RX100よりも背景ボケが出るようになり、帰宅後のRAW現像でもホワイトバランス(WB)をこだわった結果そこそこいい雰囲気の写真も撮れました↓
ただ、このGM-1はフリッカーが出やすいのか、スタジオの照明がインバーター無しだったせいか、照明を使うとモロにフリッカーが出てしまい、当時はこれを抑えることができず(シャッタースピード1/50あたりで固定すれば消えたと思われる)窓からの屋外光のみで撮影した写真以外は悲惨なものでした。
その次の回もGM-1だったのですが、フリッカーを嫌ってその日は全て屋外光のみで撮影しました↓
おかげで雰囲気のいい写真が撮れましたが、夕方近くになるとかなり暗くなってしまい、かなり強引なスローシャッターを多用してしのぎ、それでも足りない光量はRAW現像で補正するという方法をとりました。
あとこの頃はまだ目線変更のやり方がイマイチわかってなかったので、表情の演出が乏しかったように思います。
んでその次の回で現用機であるフジフイルムのX-T1になりました。
ちなみにスペック的なことを書いときますと、X-T1のセンサーサイズはGM-1のm4/3規格よりも大きく、35mmフルサイズセンサーより少し小さいAPS-C規格(フジ独自の素子配列の「X-Trans CMOS2センサー」を採用)なので、m4/3機よりも背景ボケがより強く出せる上に高解像度なのはもちろん、画像処理エンジンのおかげなのかノイズ耐性も高く、色再現性や発色も非常に優れた特性になってます。
GM-1では同一光源でもWBや露出がバラつきやすい上にノイズも出やすかったので、RAW現像時の補正でいろいろなパラメータをいじる必要がありましたが、X-T1だと少しハイライトを抑えるくらいで他は何もいじらずに済む、なんてことがほとんどでした。
レンズもそれまで標準域1本でしたが、ここから広角(XF16mm/f1.4=35mm換算で24mm相当)と標準(XF35mm/f1.4=35mm換算で52mm相当)の2種を使用。
照明はやはりそれまでの写真の雰囲気が気に入ってたので、この日も屋外光のみで撮りました(たしか補助的に照明を使った写真もありましたが、やはり屋外光のみの方がいい感じでした)↓
しかしこの回ではまだ広角・標準レンズの特性を活かし切れなくて、全体的に凡庸なアングル・レイアウトの写真が多かったように思います(上記写真は35mm)。
ポージングも目線も多彩には動かしていませんでした。
ちなみにこの回からマニュアルフォーカスで撮るのが定番になりました。
その次の回は100cmのミニチュアサイズだったので衣装が無く、これまでと違うノリにしようとスタジオも毛色の違う所に変えて撮ったわけですが、この日は屋外光ではなく、スタジオの特殊な照明を使用した写真が思いの外いい感じに撮れました(LEDが床や壁面にたくさん埋め込まれてました)。
ボディも小さかったので動かしやすく、いろんなポージングで撮りました。
ちなみにその写真はアルテさんのサイトでまだ掲載されていないので、残念ながらここでは掲載できません。
そして今回の撮影となったわけですが、今回はこれまでのような窓からの屋外光の他に、天井の照明も使用してみたのですが、その過程で偶然いい感じの明かりを発見しまして、我ながらちょっと感動してしまいました。
まずはいつも通りの屋外光↓
上記写真は35mm(標準域)レンズで撮影。
ちなみにこの日は広角・標準に加えて中望遠域のレンズ(58mm=フルサイズ換算87mm相当)も使用しました。
以下の写真は似たようなアングルから3種のレンズで撮影したもの↓
左から広角(16mm)、標準(35mm)、中望遠(58mm)となります。全て絞り開放。
ちなみに58mmのレンズはフォクトレンダー(コシナ)ノクトン58mm/f1.4 SL2 Nというやつで、1960年代のトプコール58mm/f1.4をベースに、コシナがニコンFマウント用に再設計したレンズです。
「クラシックレンズの味わいと現代的な性能の両立」と謳われているように、絞り開放ではかなりソフトフォーカス的な柔らかい描写になっており、独特な雰囲気を醸し出しますが、少し絞るだけでかなりクッキリとした描写になります。
コーティングは完全に現代の技術なので、ゴーストやフレアはかなり抑えられていますが、元々がフィルムカメラ用の設計なためか、デジカメでは少々色収差が出る場合もあります。
しかしこのノクトン58mmはフィルムカメラ(Nikon FE2)はもちろんのこと、デジカメ(X-T1)でもカッコイイ写真が撮れる率(笑)が高いので、現在ぼくのお気に入り筆頭レンズとなっております。
他の2本は完全に現代のレンズ(XF16mm/f1.4とXF35mm/f1.4)なので、ノクトンと比較すると絞り開放なのにかなりクッキリした描写になってるのがわかります。とはいえ、XFレンズも絞ればさらにクッキリ度がアップしていくという、解像性能の良いレンズです。
発色も他社のレンズやオールドレンズと比べて鮮やかな印象になるようです(晴天の青空や屋外の緑を撮り比べるとわかりやすい)。
…少々脱線してレンズの話になってしまったので軌道修正。
次に場所を変えて天井の照明を使用してみました↓
背景の雰囲気に合わせて衣装もウィッグもチェンジ。
今までの屋外の青白い光よりもかなり黄色い白熱灯の色味になってます。
ところがこの写真をよく見てみると、顔の辺りの色味が少し違うのがわかります。ソファーにも青い光が反射しています。
この光を消そうとしたんですが窓にはカーテン等の遮蔽できるものが無く、どうしたものかとしばし一考。
RAW現像時に部分補正すればこういった箇所はある程度均質化できるのですが、そういう写真はなんか嘘くさくなってしまうように思えて(補正も面倒くさいし)ぼくとしてはできるだけ撮影時のままの雰囲気をそのまま写したい派(多少の演出や強調はあり)なので、とりあえずこの状態で何枚かアングルを変えて撮影した後、試しに照明を全て消してみました↓
おぉ!なんかカッコ良くなった〜!
さらにここの室内照明は無段階に明るさを変えられるタイプだったので、ほんの少しだけ照明を足してみました↓
…ん〜悪くはないけどさっきの方がいいな。
という感じに、このスタジオでは照明でかなり楽しめました。
あと、今回やっと目線移動のやり方(眼球を押しながら動かすってだけの話だった)がわかって微調整もできるようになったのでポージングの幅も広がったように思います。
衣装のチョイスもスタジオ決める前だったので適当に見繕ったのですが、屋外光の白基調の所と白熱灯のダークな所の2箇所に偶然マッチして嬉しかったです。
他の写真はアルテトキオさんのサイトにて閲覧できます(撮影した全部じゃないけどけっこうな枚数あります。ヌードもあり)。
ちなみに一番最初にRX100で撮った写真はギャラリー内「奈々」のType B。
2回目のRX100による撮影は「奈々」のType Aと「ミン」のType Cになります。
3回目のGM-1による撮影は「ミン」のType Aと「ニーナエルフ」のType A。
4回目のGM-1による撮影は「葵」のType CとType D(フリッカーだらけのやつ)と「真希」のType B。
5回目のX-T1による撮影は「芽衣」のType Aと「アニメヘッド」のType A。
6回目のX-T1による撮影はまだ未掲載。
で今回7回目のX-T1による撮影は「七海」のType AとType B。
その他の写真は他の人が撮影したものです(恐らく中国で撮影されたものがほとんどだと思われます)。
最初の頃は手探り状態だったのでヘトヘトに疲れて終わってましたが、カメラ趣味も加わったせいかスタジオ撮影も最近ようやく楽しめるようになってきました(笑)。
いつか完全な屋外でも撮影してみたいなぁなんて思いました。
…といううわけでカメラ趣味の話でした。いや、仕事の話だったか。
- コメント
- コメントする